第10章 使命感
「わっ」
杏「無事に決まって良かった!では今夜はもう寝よう!!」
「………………はい……。」
困ったような顔をしたりんは、杏寿郎に抱えられながらリビングの時計をちらりと見る。
(…いつもより早い……。)
そうりんが眉尻を下げるのにはもちろんそれなりの理由があった。
と言うのも、ずっと寝不足が続いていたのだ。
その理由は杏寿郎の行為とりんの意識にある。
杏寿郎は同棲を始めてから毎夜りんを抱いていた。
しかし、りんはその行為に慣れるどころか過剰な意識を持つようになった。
その結果、くっついているだけで行為を思い出してしまうようになり、杏寿郎の腕の中では寝付けなくなっていたのだ。
(求めてくれるのは嬉しいけど、杏寿郎さんの腕から抜け出すのには時間がかかる…。慢性的な寝不足でそろそろ仕事中にミスしそう…。)
「きょ、杏寿郎さん…、あの…今夜は……ちょっと…、」
りんはベッドに降ろされると遠慮気味にそう断った。