第10章 使命感
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「ではこの新島の隣の小さな…、」
杏「うむ!式根島に行ってみよう!!」
二人は夏の旅行先を決めると楽しそうに微笑みあった。
式根島とは自転車で軽く横断できるほどに小さな島で、観光客を受け入れる体制が整い切れていない穴場的な雰囲気がある島だ。
「ノラ猫いるかなあ。」
杏「いると思うぞ!」
杏寿郎は『野良猫なら島に行かなくても会えるだろう!』と笑い、スマホを操作して宿とフェリー船の席を早々と押さえた。
杏寿郎の休みが多く取れなかったが為に一泊二日で帰ってくる予定である。
「島のノラ猫はまた違うと思うんですよ。なんというか野生っぽそうというか…。」
杏「観光客や漁師の方に甘えていると思うが。」
そんな返しをしながら杏寿郎はりんを横抱きにした。