第9章 牽制
「覚えてて下さったんですね。」
そうふわふわと微笑むりんの手を優しく握り直し、幸せを噛み締めながら眉尻を下げて笑みを返す。
杏「当たり前だろう!部活動があるので日程は俺に合わせてもらうことになってしまうが、それ以外は君の希望通りにしよう!!」
りんはそれを聞くと再び幸せそうに笑ったのだった。
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それから二人は一緒に買い物をし、家に帰ると夕食を作っていつも通り仲良く二人で食べた。
「明日は質問攻めにされるだろうなあ…。」
困ったような声色で言うくせに、りんは少し嬉しそうな表情を浮かべていた。
杏「質問攻めとは誰に何についてされるのだろうか!…うまい!!」
「もちろん会社の皆に、杏寿郎さんについて、ですよ。女の子に妬まれて意地悪されないか不安です。」
そんな事を言われた杏寿郎は目を丸くしたが、りんはやはりどこか嬉しそうな空気を纏っていた。