第9章 牽制
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そして創立記念日——、
二人きりになってしまったタイミングでりんは再び藤川に首を抓られそうになった。
しかし、りんは杏寿郎に『跡が薄くなってきているから気を付けるように。』と事前に教えてもらっていたお陰でそれを避けることができたのだった。
藤「……………………。」
藤川はりんに分かられてしまった事を悟り、何も言わずにりんから離れた。
(……特に何も言われなかったな…。)
りんはどんな顔をしていれば良いのか分からなかった。
そうしてその日は随分とやり辛い思いをしながら働いた。
そして、終業時間となった。
その日は特に残業もなく、一番帰る人が多い時間に会社を出る事ができた。