第9章 牽制
杏「りんさん、来てくれ。話がある。」
更に数日経ったある日、杏寿郎はとうとうそうりんを呼んだ。
夕飯の食器をちょうど片し終えたところだったりんは、手を拭いてから杏寿郎がいるソファへ駆け寄った。
杏「座ってくれ。」
「……はい。」
杏寿郎はりんが座ったのを確認すると後ろ首に手を伸ばした。
するとりんが若干身を強張らせる。
藤川があれから更に二度も "妙な虫" をそこで捕まえたからだ。
杏寿郎はりんのそのおかしな反応に目を細めた。
杏「どうして身を強張らせた。」
りんはそう問われると居心地悪そうに視線を落とす。
「実は……、」
———
杏「妙な虫か…。」
りんの話を聞いた杏寿郎はそう呟いた。