第9章 牽制
杏「外へ出るのが怖ければ嫁いで家庭に入っても良いんだぞ。」
「……大丈夫です。あと、プロポーズはもっとロマンチックなのがいいです。」
りんは甘えてしまいそうになってそう冗談交じりに返した。
杏「分かった。」
一方、杏寿郎は真面目に受け取ってそう返事をし、ロマンチックなプロポーズとやらを調べようと決めたのだった。
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杏「では今日もお互い頑張ろう!!」
「はい。なるべく急いで帰りますね。」
職場へ向かっていた二人は微笑み合うと駅前で手を離した。
だが、昨日とは異なり、杏寿郎はりんが乗る電車が来るまでりんを見守り続けたのだった。
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藤「………………。」
藤川は出社すると真っ先にりんの髪型をチェックした。
りんは杏寿郎に『上げない方が似合う』と言われたが為にハーフアップにしていた。