第9章 牽制
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(……よし。)
りんは確保した会議室のセッティングを終えるとその報告をしに藤川の元へ向かった。
藤「流石水瀬さん。手際が良いね、ありがとう。」
そう言うと藤川はスッと雰囲気を変える。
(あ……、)
りんはこの時の藤川を尊敬していた。
藤「では行こうか。水瀬、今日もサポートを頼む。」
「…はい。畏まりました。」
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藤「お疲れ様。無事纏まって良かった。」
「お疲れ様です。」
りんはテキパキと会議室の後片付けをしながら微笑んだ。
そんなりんの元に藤川が歩み寄って来る。
何となく頬を撫でられた時の事を思い出したりんは身を強張らせた。
「…こ、ここは私が片付けておきます。部長は」
藤「君なら知っているだろう。次のスケジュールまで少し余裕がある。」
そう言うとりんの目の前に立ち、少し迷ってから手を伸ばしてそっと触れるように頭を撫でた。