第9章 牽制
杏「とても上手だぞ!今朝も作ってくれた!」
天「…は………今朝?なに、またお泊りしたの、あいつ。」
そう指摘されると、昨夜のりんの乱れ具合いを思い出した杏寿郎は笑顔のままじわりと頬を染めた。
天「え……、」
杏「頂きますッ!!!」
天「ちょっと待てって!!何が」
実「おいコラ宇髄うるせェぞォ!!!」
遠巻きに見ていた実弥が近寄ってくると天元はイラッとした顔をした。
天「何なの、お前ら。いつも煉獄の味方ばっかするじゃん。」
実「何度も言ってんだろォ。普段の行いを省みやがれェ。」
天「はぁぁ!?」
杏寿郎はそんな騒がしくなった周りをよそにタッパーの蓋を開けた。
そして至るところに入っているさつまいもを見付けると頬を緩ませる。
杏(愛らしいな。これでは喜んでもらいたいという想いが丸分かりだ。)
そう思いながらそれを頬張った。
そして輝く笑顔を浮かべる。
杏「わっしょいッ!!!」
それを至近距離で聞いた天元は言い合いをやめ、耳を手で覆って顔を顰めたのだった。