第9章 牽制
ご機嫌の杏寿郎はタッパーをビニール紐で雑誌を縛るようにガッチリと縛ると、それを鞄と共に片手で持ち、再びりんに視線を戻す。
杏「君も支度は出来ているようだな!一緒に出るか!」
そんな提案にりんはパッと顔色を明るくさせた。
「はい!」
そうして二人は幸せそうに微笑み合うと家を出て、駅前まで手を繋いで歩いた。
「では…、お仕事頑張ってください。」
杏「ああ!君も無理せず頑張ってくれ!」
二人はそう言うと駅前で別れ、それぞれの職場を目指したのだった。
———
「ふぅ…。」
りんは杏寿郎と別れるとホームのイスに座って息をついた。
(腰抜けなくてよかった…。目の前で座り込んじゃったら杏寿郎さんに気を遣わせちゃうものね…。)
そう、りんの足腰は未だ万全の状態ではなかったのだ。