第7章 一大イベント(part. 2)
杏「すまない!!」
杏寿郎は眉尻を下げながらりんの涙を何度も何度も親指で拭い、弱ったような表情を浮かべた。
その顔に先程の荒々しさは微塵も見当たらない。
杏「すまない…君の言う通りだ。今話すべきではなかった。頼む、泣き止んでくれ。」
そう言う杏寿郎まで泣きそうな程に辛そうな顔になると、りんはぎゅっと目を瞑って涙をこらえた。
「『今話すべきではなかった』って…あとでまた話すんですか…。」
杏「もうしない!!二人きりで来れているのだからもうこの話は終わりにする!!!」
その言葉を聞いたりんはほっとするのと同時に涙が残る顔でふわりと笑った。
———
「杏寿郎さん、写真撮りませんか?」
りんはトンネル水槽の入り口で杏寿郎の手を引っ張りながら立ち止まった。
すると挽回したい杏寿郎はにこりと笑って快諾する。