第7章 一大イベント(part. 2)
(この顔…、嫉妬した時と同じ顔…。杏寿郎さんって本当に嫉妬深いんだ…。)
「…友達の彼氏…とかです。もちろん女友達と一緒に」
杏「 "とか" の方を教えてくれ。」
そう被せ気味に問われるとりんは白旗を上げた。
「その…何回かカップル同士で行こうってなって…、 "とか" とは、その時わたしと付き合ってると噂になっていた人の事です…。」
そう言って杏寿郎を見上げると杏寿郎は目をすぅっと細めてりんを見下ろした。
杏「もう一度聞く。どんな男だ。」
再び杏寿郎の冷たい怒りに触れたりんは冷や汗を流した。
「……ど、どちらかと言えば上司に似ているかと…。ですが無理に交際を迫ってきたりはしませんでしたし、他にも変なことは」
杏「無理には迫られなくとも、申し込まれはしたのだな。」
そう痛いところをつかれたりんは追い詰められて眉尻を下げた。
「…………杏寿郎さん…、初デートは楽しく仲良く過ごしたいです…。」
りんがそう言ってとうとう涙を溢し始めると、杏寿郎はハッとし慌てて涙を拭った。