第7章 一大イベント(part. 2)
杏寿郎はりんの手を引いて暗い館内の端へ向かった。
杏「少し話をしようか。」
りんは赤く燃えるように光る杏寿郎の瞳を見て喉をこくりと鳴らした。
「ふ、二人きりではないですよ…。そういうお誘いはきちんとあしらっています…。」
杏「それを分かっていないと思うか。それでも話があると言ったんだ。」
そう言うとりんの頬をむぎゅっと両手で包む。
そうしてりんの瞳をじぃっと覗き込んだ。
杏「…なるほど。確かに若干、雰囲気が変わるな。」
そんな姿を先に見た男がいるというだけで既に問題だった。
杏「どんな男だ。軽薄そうな男か。それとも藤川さんのような男か。」
りんは今杏寿郎を支配している感情の名をもう知っていた。