第7章 一大イベント(part. 2)
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杏「水族館に来るのは久し振りだ!」
「いつ振りですか?」
りんは杏寿郎に続いてゲートを通るとタタッと隣まで小さく駆けた。
杏寿郎はそれに気が付くとにこりと笑って手を握る。
杏「千寿郎が年中さん、俺が十歳の頃だ!」
「あ、それは確かに結構前ですね!私は今年初めてです。」
そう言って微笑むりんを杏寿郎は口角だけ上げて見つめた。
杏「…男と行くのはこれが初めてだろうか。」
変わっていないはずの声音にぞくりとするような圧がある気がし、りんは言葉を詰まらせた。
「………それは…、」
杏「あるのだな。」
すぐに否定しなければもっと追い込まれるに決まっている。
しかし、りんの嘘は杏寿郎には通じない。
りんはどちらにせよ杏寿郎の詰問から逃げられなかった。