第6章 一大イベント(part. 1)
(それがどんな人なのか、どんなお顔の人なのかも全く知らないけれど、その人に執着してたお父さんとお母さんは、私と宇髄家の長男である天兄が一緒になる事にも異常にこだわってた。まるでウブヤシキさんと繋がりがあるかのように…。もし煉獄家が宇髄家と同じような存在なら……、お父さん達は…どんな反応を…、)
杏「関係あるぞ。」
あっさりとそう言われるとりんの心は乱れてしまった。
(…きっと………杏寿郎さんを紹介したら "あの人達" は喜ぶ…。でもそういう風に喜んでほしいわけじゃない…私はただ………、)
「…すみません…お手洗いをお借りしてもよろしいでしょうか…。」
瑠「どうぞ。廊下に出て右へ。一番手前の左手にある扉です。」
りんの暗い表情を見た皆はりんを見送ると真剣な表情で思案し始めた。
槇「お館様を産屋敷さんと呼んだな。宇髄家から "きちんと" 教えられていたらそのように呼ばないだろう。」
千「名字で呼んだと言うことは…お館様の表の顔だけを知る人物から聞いたということ…でしょうか。」
杏「この話の流れで出たという事は親戚か親か、ある程度宇髄家と繋がりのあるどちらかでしょう。りんさんの顔色から察するに恐らく後者だと思いますが。」
槇「親と上手くいっていないのか。」
りんがいない場でその質問に答えるのには少し抵抗があった。
杏「りんさんに非はありません。」
それ故にそれだけ返した。
そして槇寿郎はそんな杏寿郎を見つめるとただ『そうか。』と返し、追求をやめたのだった。