第6章 一大イベント(part. 1)
千「……………………。」
千寿郎はこれ程ときめく感情を表に出てしまっている人を見た事がなかった。
そして、確信した。
千(兄上は愛されているという確固たる自信があるんだ…。そして別にそれに胡座をかいている訳ではない…。ただ押しに押しているだけで…。)
「……どうぞ。」
蚊の鳴くような声でお茶を差し出されると、千寿郎は少し同情するような目でりんを見た。
千「ありがとうございます。」
瑠「甘納豆も美味しそうですよ。老舗の物ですから。」
杏「それに加え、りんさんが四時間歩き回って探した物です!味は格別かと!」
「杏寿郎さん…!」
ハードルを上げられたりんは少し泣きそうな顔になってしまった。
すると杏寿郎は優しい笑顔を浮かべてりんの頭を撫でる。
杏「言ったろう。皆君を気に入る。そう緊張して気を遣わなくて良い。」
「今遣わずしていつ遣うのですか…!」
杏「まあそう思うのも無理はないな!」
そう言って笑う杏寿郎の表情は相変わらず優しいままだ。