第6章 一大イベント(part. 1)
千「父上、婚姻届はあの一枚だけですよね?恋人の父親からプレゼントされて喜ぶ女性はいませんよ。」
槇「そこまで非常識ではない。プレゼントしようとしていたのではなく…ただ、必要になったらいつでも出せるようにと…。」
千「その気持ちが重いんです…!りんさんが逃げ腰になってしまいますよ!」
杏「りんさんは流されやすいので効果的だと思うぞ!」
千「…兄上まで……。」
もちろん千寿郎も兄の初彼女を喜んだ一人だ。
それ故に必死に助言した。
しかし、全く上手くいかない。
千(兄上は確かにいつも前向きだけれど、なんだか今回は楽観的とも言えるような…、)
そう困っていると話題の中心に上がっていたりんが瑠火の後ろについてお茶を持ってくる。
「どうぞ。」
槇「ありがとう。」
千寿郎はそんなりんを目で追った。
すると、杏寿郎に茶を出した際、何かを囁かれたりんが真っ赤になる。
湯気が出そうな程に赤いりんは何かを恥じている訳ではなく、ただ照れている様子だった。
恐らく褒め言葉でももらったのだろう。