第6章 一大イベント(part. 1)
(さっきのこちらを覗いてた頭…お父様だよね…。)
「あの…、」
自身の様子を窺っていたと思われる父親が何をしていたのか気になった。
杏寿郎はりんの不安そうな声を聞くとにこりと微笑む。
そして、千寿郎が必死に止める前でりんにある用紙を見せた。
「……………………………………。」
———それは婚姻届であった。
「え……あの、今日は…ただ交際の報告を…、」
杏「うむ!一応はそうだな!だがまあこういう事でもあるだろう!!」
千「兄上…っ!逃げてしまいますよ…!」
(こういう事って……、)
りんはそう戸惑いつつ、結局何も突っ込めなかったのだった。
———
「失礼いたします。」
案内された和室に入ると、新聞を読んでいた父親、槇寿郎が今来客に気が付いたかのような反応をしてからにこりと優しく微笑んだ。