第6章 一大イベント(part. 1)
母「まあ…。そんなに畏まらなくて良いんですよ。こちらはありがたく頂戴致します。」
「は、い。」
りんが瞑っていた目を開くと女性は微笑んでいた。
(あ…、優しそう……。)
瑠「改めましてようこそおいで下さいました。杏寿郎の母、瑠火でございます。どうぞ中へ。」
「はい!お邪魔いたします…!」
杏「ただ今帰りました!!」
そうして玄関に上がると、杏寿郎と同じ髪色の頭がピャッと部屋の中に引っ込むのを見てしまった。
(お父様かな…それとも大学生の千寿郎くんかな…。)
千「あ…、い、いらっしゃいませ。」
部屋から目を離すと、少し線の細い気弱そうな青年が後ろ手に何かを隠しながら廊下に立っていた。
「お、おじゃまします。水瀬りんです。よろしくお願いします。」
(インターホンを鳴らしたのに不意をつかれたかのような反応…。)