第6章 一大イベント(part. 1)
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(お、思ったより近かった…!そして大きい…!宇髄本家並みだ…!!)
立派な日本家屋の前に立ったりんは緊張して拳をぎゅううっと固く握っていた。
———ピンポーン
杏寿郎がインターホンを鳴らすとすぐに『はい。』と女性の声が聞こえてくる。
(可愛いもの好きなお母様…かな?思ったよりクールそうな声…。)
りんは喉をこくりと鳴らした。
杏「杏寿郎です!りんさんを連れて来ました!!」
母『まあ、可愛らしいこと。』
「へっ、あ!」
りんが戸惑っている間に声は途切れ、代わりに玄関の戸がガラリと開いた。
そこには着物姿の凛とした女性が立っている。
りんはその女性が無表情である事に冷や汗をかいた。
(すぐに名乗らなかったから…!!)
「ご、ご挨拶が遅れまして大変申し訳ございません!杏寿郎さんとお付き合いさせて頂いております水瀬りんと申します!よろしくお願いします!こちら、美味しいと評判でしたのでよろしければ…!」
りんが赤くなって必死にそう言い紙袋を差し出すと、その女性は手で口元を押さえながら目を細めた。