第6章 一大イベント(part. 1)
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「これで最後です。」
なんとか持ち直したりんは六つ目の弁当を持ってきて微笑んだ。
杏「君の分はあるのか。今から作るのであればこれを食べてくれ。」
「そんな事をしたら杏寿郎さんのお腹が大変なことに…、」
そう断っている途中でりんの腹の虫が鳴く。
杏寿郎はにこりと笑った。
杏「決まりだな!諦めて隣に座ると良い!!」
杏寿郎は少し奥にずれ、りんを招くように隣をとんとんと叩いた。
「うぅ…このご恩は忘れません…。」
杏「大袈裟だな!!」
りんは箸を持ってくると清々しい声を出す杏寿郎の隣に座った。
「いただきます。」
そうして食べた弁当は正直に言うとあまり美味しくなかった。
その証拠に杏寿郎の『うまい!!』も聞こえない。