第6章 一大イベント(part. 1)
「杏寿郎さんのお家はとってもシンプルですよね。そういった部屋も憧れます。私の場合小物が増えちゃって…。」
そう言いながら飾り棚を指差す。
そこにはお土産や贈り物と思われる品々が飾られていた。
杏「俺の場合、皆食べ物しか寄越さないのでこういった事で困った経験はないな!」
杏寿郎がそう言うとりんはまた笑い、熱々の弁当を一つ持ってきた。
「とりあえずこちらから召し上がって下さい。次々に温めますね。」
杏「すまない!俺のを用意していたのか!!」
そう言って杏寿郎が立ち上がろうとすると、りんは杏寿郎の肩に手を当ててそれを遮った。
「あの…、私がしたいんです。か、彼女っぽい…こと…。」
中腰になっていた杏寿郎は、りんの眉尻下がった赤い顔を見ると目を丸くしながらストンと腰を下ろした。
杏「………健気で愛らしいな。びっくりしたぞ。」
「ほ、他のを温めてきます。」
りんは真顔で褒められると耐えきれなくなってパタパタとキッチンへ駆け戻っていった。