第6章 一大イベント(part. 1)
「仕事の日はアラームを六…複数セットしてるんです。でも今日は一回目で起きられました!」
りんはスマホの時間を確認すると、にこにことしながらそう報告する。
杏寿郎もそれをにこにことしながら聞いていた。
杏「そうか!偉いぞ!!」
杏寿郎がそう褒めて額に口付けるとりんは笑顔のまま固まり、じわっと頬を染めた。
「…あ……、では起きましょうか…。」
杏「君はしてくれないのか。」
「………。」
言葉では優しくねだっていたが、腕は矛盾するようにりんを逃すまいとガッチリ抱き留めている。
りんはそこから抜け出せそうにない事を認めると、目をぎゅっと瞑りながら杏寿郎の額に口付けた。
すると目を瞑っているのをいい事に杏寿郎はりんの唇にも口付けた。
「…っ」
杏「うむ!良い朝だな!!」
りんはパッと呆気なく解放されると、とある確信をした。
(杏寿郎さんは爽やかで清らかで誠実な人だけど、それだけじゃない…。とってもせっかちで…何より強引だ…。)
そんな事を思ったが、同時に『自分が優柔不断だから相性が良いのかな…?』とも思った。