第5章 華
(別に私も別れるつもりとかはないけど…そういう問題じゃない気が…、)
杏「こちらの引き出しが丸ごと空いている!使ってくれ!」
「あ、はい…!」
杏寿郎は『もう話はついた』という顔をしていた。
(……問題ない、のかなあ…。)
りんはそう思いつつ、やはり流されてしまった。
杏「せっかく着替えも用意したんだ。今日は泊まっていくだろう。」
にっこりと微笑む杏寿郎を見たら頷くしかない。
そうしてりんは、少し困ったように微笑みながら『彼に慣れていこう。』と心に決めたのだった。
———
「……明日はお化粧で隠しますね…。」
寝る直前、ベッドの上でりんはそうしょげた声を出した。
杏寿郎の華を改めて近くでみたからだ。
杏「そうだな!よろしく頼む!!」
一方、杏寿郎はただ明るく笑っている。
そしてちらりとりんの首を見た。