第5章 華
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「杏寿郎さんのお家がどんどん居心地良くなっていきます。」
杏寿郎の寝室に服を持って入ると、りんはそう言いながら杏寿郎に微笑みかけた。
杏「それなら一緒に住むか。」
「………え…、」
そう呟くと思わず服を落としそうになってしまった。
杏寿郎はそんな動揺するりんを大きな目で見つめている。
杏「住む場所が大きく変わる訳でもないし、俺は君と別れるつもりがない。それなら今から一緒に住んでも良いだろう。それにここは一人で住むには少し広いしな。」
りんは流されそうになって喉をこくりと鳴らした。
「あの…、でも、合い鍵を交換したばかりですし…まだたまに泊まるくらいでも良いんじゃ…、」
そう言いよどむと杏寿郎はもどかしそうにりんの両肩を掴む。
杏「俺といるのは嫌か。」
「い、嫌じゃないです!全く…!」
杏「では決まりだな!!来週末は引越し作業に充てよう!一人で無理なく運べる物は平日に持ってくると良い!!」
「…え…ぁ………、」
りんは杏寿郎のせっかちさに気圧されてしまった。