第2章 初めての彼氏は…、
杏「それで周りに決め付けられてしまったのだな。君がそれに合わせたのはなぜだ?否定して自分らしくしていれば良かったろう。」
りんはそうごもっともな事を言われると、あまり減っていない酒が入ったグラスを両手で掴んだ。
「初めは…そうしました。でもみんな全然信じてくれなくて…段々否定せずに話を合わせるようになってしまったんです。」
そう話すりんの横顔は従兄弟だという色男の横顔によく似ていた。
杏(噂に加え、見た目のせいで随分と苦労したのだな。)
同じく色々と目立つ容貌の杏寿郎はぽんぽんとりんの頭を軽く叩くと手を離した。
杏「宇髄があそこまで強引に君を勧めた理由はこれだったのだな。確かに俺達の相性は良いように思える。」
そう言われるとりんの頬は容易に染まっていく。
杏寿郎は出会ったばかりのりんに早くも良い意味で興味が湧いていた。
杏「君はすぐに赤くなって愛らしいな。ギャップがあるのもまた良い。初対面だが俺はもうすでに君の事を好ましく思っている。」
そう思った事をそのまま伝えると、ただでさえ慣れないタイプの男に戸惑っていたりんは目を見開いて固まった。