第5章 華
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サーッとシャワーの音が響き始めると、杏寿郎は少しドキッとしてテレビの音量を上げた。
杏(いや、今のうちに着替えを持って行かねばならないな。)
そう思い至ると寝室へ行って服を選び始めた。
杏(下はハーフパンツでないと引き摺って危ないだろうな。上は…半袖で平気だろうか。春とはいえまだ夜は冷え込むからな…。)
杏寿郎はそう迷うと長袖と半袖の両方を持っていく事にした。
そして、脱衣所前に立つと、『入るぞ!!!』と大きな声で断りを入れてから戸を開けた。
———ガラッ
開けてみると風呂場からは何の音もしない。
杏寿郎はりんが息を潜めているのだろうと悟るとおかしそうに笑った。
杏「そちらには入らない!安心してくれ!着替えを持ってきたんだ!バスタオルと共に置いておくので使ってくれ!!」
「あ…はい!ありがとうございます!」
りんは急いで返事をした。
その返事を聞いた杏寿郎は風呂場の戸に近付き、そして男性用下着を見て固まった。