第5章 華
——
(朝もどすっぴんでいるのは抵抗があるから…、)
りんは化粧落としと化粧下地を手に取ると、ちらりと男性用の下着を見た。
(女性用のは売ってないし…これを履くしか……、)
「杏寿郎さん!お待たせしました!」
りんは精算を終えると、弁当を選んでいる杏寿郎の元に駆け寄った。
杏「買ってしまったのか。俺が一緒に払うと言ったろう。」
「でも私のですから…。杏寿郎さんは私を甘やかしすぎです。」
そう言うと杏寿郎は『むぅ。』と唸ってからレジに向かった。
「お食事足りませんでしたか…?」
杏「足りたぞ!これは君の朝ご飯だ!」
「えっ、あ!わ、私出します!」
そう慌てるも時既に遅し。
支払った杏寿郎は笑みを浮かべながらりんの手を握った。
杏「これで泊まる準備ができたな!!」
「………はい…。」
りんは若干固い声色で返事をした。