第5章 華
天(あれ…あいつ拗らせてただけで思ったより良い奴なんだっけ…。)
そんな事を思いながら仲が良かった時代を思い出した。
天(確かに…顔が似てるから俺の恋愛対象には入らなかったが……、他の男からしたらいい恋人になんのかもしんねーな…。)
天『……あいつ…、寝起きめちゃくちゃ悪いぜ。じゃーな。』
杏「あ、待て!宇髄!」
そうして杏寿郎は結局、さつまいもについての礼を述べられなかったのだった。
杏(寝起きが悪いのか。明日は部活がある。起こすのは可哀想だな。)
「終わりましたか…?」
少し恨めしそうな声にハッとすると、りんが土鍋に蓋をしながらちらりと視線を寄こした。
杏「ああ。惚気けて終わってしまった。」
そう偽りなく打ち明けられると怒りづらくなってしまう。
りんは結局、一言も文句を言えなかった。