第5章 華
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杏「ただ今帰った!」
「あ、」
大量の玉ねぎを切り終えたりんは手を洗ってから玄関へパタパタと駆けていった。
「お帰りなさい。お疲れさまです。」
そう言ってからハッとした。
「あ……、なんだか家主みたいな事を…、すみません。」
気恥ずかしさから俯きながらちらりと視線だけ上げると、杏寿郎は嬉しそうな笑顔を浮かべていた。
杏「新婚のようだったな!!土鍋はこれで良いだろうか!!!」
その声の大きさから杏寿郎の嬉しさが伝わり、りんは思わず破顔してしまった。
「はい。合ってます。ありがとうございました。さつまいもご飯作りますね。」
杏「よもや!俺の大好物だ!!」
りんはそう驚く杏寿郎に柔らかい笑顔を向けながらキッチンへ向かった。
「天元くんに聞いたんです。さつまいもがお好きって。」
杏「そう言えば聞いたと言っていたな!礼を言っておこう!」
杏寿郎はそう言いながらキッチンに土鍋を置くと、早速天元に電話をかけ始めた。