第5章 華
「コンビニと大体同じですよ。精算だけ機械がするんです。タッチパネルの "現金" を押してください。」
そう言ってりんが財布を取り出すと、杏寿郎は "クレジットカード" を押してカードを差し込んでしまった。
「あっ……もう…少しは出させてください。月曜も奢ってもらったのに。」
杏「すまないが無理そうだ!」
りんはそんな杏寿郎に困ったような笑顔を向けるとサッカー台に食材を運んだ。
「月曜も今日も、私のお夕飯代が浮きました。このままでは私のお財布はどんどん潤ってしまいます。」
杏「君がそれを快く思わないのなら、二人の金だと思って貯金しておいてくれ。」
その言葉から将来を見据えた姿勢を感じたりんは、『分かりました。』と小さな声で返事をしながら袋に食材を詰め始めた。
(明後日はご実家にも行くし…、本当に誠実に考えて下さってるんだろうな…。)
杏「終わったぞ!レシートが恐ろしく長かった!」
杏寿郎はそう笑いながらりんの隣に立つと、りんの真似をしながら袋に詰め始めた。
「ふふ。あとで見せてください。」
そうして同じ事をしている時、二人は微笑みながら『まるで夫婦みたいだ』と、同じ事を思ったのだった。