第5章 華
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「杏寿郎さん。」
調理道具を出し終えたりんは、観葉植物の葉をつついていた杏寿郎に声を掛けた。
杏「すまない!何か手伝える事はあるか!」
りんは急いで駆け寄ってきた杏寿郎を微笑ましそうに見つめた。
「それでは運ぶのを手伝ってくれますか?」
見れば鍋やフライパン、まな板、包丁、ボール二つに菜箸、フライ返し、軽量カップや軽量スプーンなどのありとあらゆる調理器具や、皿にナイフなどの食器類が並んでいた。
杏「……これを持って行っても君は困らないのか。随分とたくさん持っていたのだな。」
「そこまで珍しくはないかと…。調味料は複数なかったので新しく買いましょう。」
杏「うむ!!」
杏寿郎の楽しそうな笑顔を見たりんは心が満たされるのを感じた。
杏「君は電気ポットを持ってくれるか!あとは俺が持とう!!」
「え、でもこれ保温効果ないので軽いやつですよ。私ももっと手伝います。」
杏「いや、鍋に入れれば何とかなりそうだ!頼ってくれ!恋人だろう!」
そう言われるとりんは頬を染めて頷き、『ありがとうございます。』と呟いた。