第1章 出会い
「名残惜しいけどここまで。私ほんとは彼氏いるんだー。」
(ああもういないのに…!でも人数合わせの人に言い寄ってると思われたくないし…ちょうど良いかな…。)
りんがそう思いながらにこにこと笑うと杏寿郎は腕を組んで少し首を傾げた。
杏「それなのに来たのか!感心しないな!」
「な…!れ、煉獄さんだって人数合わせでしょう?彼女だっているんじゃ…。」
りんが思わず眉を寄せると杏寿郎はにこりと笑う。
杏「フリーだぞ!恋人はできた事がない!!」
「……え………、」
りんは小さく呟くと、天元がなぜ杏寿郎を自分の元へ連れてきたのかを理解した。
(天兄がそうしたって事は…たぶん、ほんとなんだ…。)
「……そうなんですね…。」
りんは珍しい仲間を見つけると、長年周りに言えずにいた秘密を告げたくなってしまった。
「…その……、」
(こんな人が相手だったら…、)
喉がごくりと鳴る。
「実は、私……、私も、」
(私も偽らずに付き合えたりするのかな…。)
りんは拳をぎゅっと握ると眉を寄せて杏寿郎を見上げた。
「本当は今彼氏なんていないんです!私と付き合ってみませんか!!」