第1章 出会い
そうしてりんは中学生の間ずっと『とんでもない長身でとんでもないイケメンの先輩と付き合っている』と言われ続け、
高校に入る頃には『大学生と付き合っている』『社会人の彼氏と歩いていた』などという根も葉もない噂がたち、
そして、頑張って勉強し、皆が行かないようなトップレベルの大学に入った後にもどこからか似たような噂が生まれてしまった。
なぜかというと、影響を受けやすいりんが周りの作った見当違いな性格に染まってしまったからだ。
だから就職しても上司であるやり手の営業部長との間に噂がたった。
幸いなことに女の友人はいなくならなかったが誰にも打ち明けられずにいるし、寄ってくる男はいつも軽薄そうな男ばかりであった。
(……この人はそういう欲がなさそう…。まあ人数合わせで来てるなら女性には困っていないんだろな…。)
りんは曲がり角を曲がるとするりと手を離した。