第4章 誰のもの
「そ、それは…っ、杏寿郎さんが女として意識してないまま誘ったんだと思ったから応じたんです…!」
杏「そうか!混乱させてすまなかった!!」
杏寿郎はそう言うと互いの身を離してしっかりとりんの顔を覗き込んだ。
すると恥を覚えて居心地悪くなったりんは視線を下げる。
杏「りん。」
聞き慣れない呼び方にハッとして視線を上げると、燃える赤い瞳に捕まった。
(熱っぽい目…、)
杏「口付けても良いか。優しくすると誓う。」
穏やかな声音に強ばっていた体の緊張が解けていく。
「……………はい……。」
りんがすんなり受け入れると、杏寿郎はりんの顔にそっと手を添え、親指で緩く頬を撫でる。
りんはこそばゆく感じて少し眉を寄せた。