第4章 誰のもの
杏「…そうか………そうか!」
そう言って浮かべたのは彼らしい太陽のような笑顔だった。
りんもそれを見て笑顔を返したが、悩みが解消されると共に安堵で胸が満たされると涙が滲んできてしまった。
「良かったです…。」
ただ一言そう伝えて杏寿郎の胸に顔を埋める。
杏寿郎は幸せそうな笑みを向けながら、そんなりんを緩く抱きしめ直した。
杏「今夜は口付けのやり直しまでにしよう。止まれなくなりそうだ。」
そう言う杏寿郎の声音は明るく、そして柔らかい。
一方、りんは頬を染めながら目元だけ覗かせ、窺うような視線を杏寿郎に送った。
「…そういえば…、用意してたって……。」
杏「ああ!俺が家に招いたら君は応じたろう!後で調べたら恋人を家に招いた場合、そういった事になるのが自然なのだと記されてあってな!君に恥をかかせまいと色々準備した次第だ!!」
それを聞いたりんは耳まで赤く染めて顔を上げた。