第4章 誰のもの
りんは頬を染めながら見つめ返して頷く。
「杏寿郎さん……、私のことをあまり…女として見ていないでしょう…?恋愛の嫉妬とは全く一緒じゃないかもしれないけれど、それでも嬉しくて…。」
思い切ってそう伝えると杏寿郎は口を薄く開いたまま固まってしまった。
(…困らせてしまったかな……。)
「あの…無理に女として見てくれって言ってる訳じゃなくて、」
杏「見ているに決まっているだろう。」
杏寿郎は心外そうな声を出した。
「え…?」
杏「君を女性として見ている。初めて会った時からずっとだ。君の方こそ……俺の好意に戸惑っていたのではないのか。気持ちが追いつかないと。」
「えっ!?」
りんは目を見開くとぶんぶんと首を横に振った。
「お、お会いした日から惹かれていました…!それから毎日…どんどん気持ちが強くなって…私だけ意識してるんだと思って寂しく思ってたくらいです…。」
そう懸命に伝えるりんの頬は赤い。
杏寿郎はその時、りんが照れ屋だからよく赤くなるのではなく、相手が想い人である自身だからよく赤くなるのだと悟った。