第4章 誰のもの
「…っ」
りんはビクッと身を跳ねさせると体を緊張に強張らせたまま大人しくなってしまう。
杏「……恰好の餌食だな。」
そう言うと首とブラウスの間に指を入れ、ギリギリ隠れる所に口付ける。
りんはその時チクッとした痛みを覚え、キスマークを付けられたのだと悟った。
(ギリギリすぎる…動いた時に少し見えてしまうかもしれない…。)
そう思ったが、それがわざとなのではないかとも思った。
杏寿郎が先程、自身は誰のものなのかについて話していたからだ。
故に好きに付けさせた。
杏(何をされているのか分からないのだろうか。いや、知識はあるはずだ。付けられても構わないのだろうか。藤川さんとの関係は上司と部下のそれを超えても大事にしていたように思えたが。)
華を三つ咲かせたところで杏寿郎が口付けをやめると、りんは閉じていた目をゆっくり開いた。