第4章 誰のもの
「あ、あの…本当に……?」
杏「もちろん無理強いはしない。強姦をしたい訳ではないからな。俺に抱かれるのは嫌か。」
そうストレートに聞かれるとりんは言葉に詰まって固まった。
(杏寿郎さんの事は好きだけど…、心の準備がまだ…、)
「イヤというか…、その、」
杏「はっきり拒まなければ、許可が出たのだとみなす。」
杏寿郎はそう言うとゆっくりとりんの体脇に膝をついて跨り、ネクタイを緩めた。
「ま、待っ」
杏「最初にいくつか質問をさせてくれ。」
「え……?」
———
杏(うむ。女性はマゾが多いと書いてあったが、りんさんもやはりマゾなのだな。それならそういった愛し方をしよう。)
りんは杏寿郎がそう判断し、納得しているさまを首を傾げて見つめた。
(何の質問だったんだろう…。)
りんがそんな事を考えていると杏寿郎は荒い色を帯びた瞳でりんを見下ろした。
杏「俺も男なので追いたくなる欲がある。あまり煽らないよう注意してくれ。」
「あ、煽るって…、」
杏寿郎はそう戸惑うりんの頭脇に手をついて屈み、りんの横首に甘く噛み付いた。