第4章 誰のもの
杏(……………………。)
りんの抵抗の声はただの喘ぎ声に聞こえた。
それを聞く度に杏寿郎の頭は痺れ、息も上がっていく。
そうして杏寿郎が口付けに没頭していくと、真っ赤な顔のりんは突如ガクンと脱力した。
「ご、ごめんなさい…。力が入らなくなって……。」
りんは口付け初心者の杏寿郎に腰砕けにされてしまったのだ。
りんを支える杏寿郎は『構わない。』と言うと、りんの靴を脱がせて横抱きにし、ようやく玄関に上がった。
杏「君は隙だらけで簡単に口付けられてしまうし、口付けられれば腰を抜かしてしまうのだな。」
杏寿郎の声は淡々としていて温度を感じさせない。
「ですが……それは…、杏寿郎さんだから…、」
りんはそう小さな声で反論したが、杏寿郎の耳には届かなかった。
杏寿郎は真っ直ぐ寝室に向かうとりんをベッドにそっと下ろす。