第4章 誰のもの
杏「…自覚が足りないようだな。」
そう低く言うとりんの手首を捕まえて歩き始める。
向かっているのは店がある方角ではない。
住宅地、つまり二人のマンションがある方角だ。
「あ…、」
りんは気分を悪くした杏寿郎が今日は解散にしようとしているのだと察した。
(……残念だけど…一緒にご飯食べる気にならないってことかな…。後でちゃんと文章で事情を説明しよう。ここに来るまでにブレスレットを外さなかった私が悪い。)
りんがそうして反省していると二人のマンションが見えてきた。
りんは少し寂しそうな顔をしたが、それは長く続かなかった。
杏寿郎がりんの手首を掴んだまま杏寿郎のマンションへ入って行ったからだ。
「えっ、あの…私のマンションあっちです…!」
杏「知っている。」
杏寿郎はエレベーターに乗り込むとりんの手首を引いてりんを腕の中に閉じ込めた。