第4章 誰のもの
藤「よかった。では…腕を出してくれるか。」
それを聞いたりんが固まる。
持ち帰ったらアクセサリー入れに眠らせてしまおうと思っていたのだ。
(これじゃ……、プライベートで男性にプレゼントされたのと何が違うんだろう…。)
そうは思ってもりんは元々流されやすい性格だ。
近付いてきた藤川が片手を差し伸べると、空気に飲まれて恐る恐る腕を上げてしまった。
藤川はそれに安堵して微笑み、華奢な手首にそれを付ける。
藤「よし。付けたよ。」
贈った物を身に付けたりんはまるで自分の物になったかのように見えた。
藤「うん……とても似合ってる。」
「……ありがとうございます…。」
りんは藤川の嬉しそうな顔を見ないようにしながら小さな声で礼を言った。
上司直々に付けられた物を外す事などできるはずもなく、りんはそのブレスレットを付けたまま残りの二時間を過ごした。