第4章 オペラの友人(?)でロビンの先輩な話
「さんの家に入るのは久しぶりですね」
「そうですね」
小さいローテーブルを挟んだ私の向かいに座り、ぐるりと私の部屋を体を動かさずに見回すオペラさん。
本当は玄関で受け取って終わりにしたかったのだが、渡された際に「長距離移動したので疲れました。のどが渇くなー、困ったなー」と抑揚のない口調で早口に捲し立てられ、あれよあれよと言う間に部屋に迎え入れることとなったのだ。
先程飲んでいた魔茶を淹れ直し、今日のおやつに食べようと思ったクッキーを出してテーブルの向かいに座る。
…どんな経緯があろうと本が手元にきたからには読みたい。
チラリと本とオペラさんを交互に見ればパチリと目が合い「どうぞ。お昼には帰りますので」と言われたので遠慮なく読むことにした。
客人を構うべきともわかってはいるのだが、読みたいと欲が出てしまったからにはしょうがないし、オペラさんも私の気持ちを察して問題ないと言ってくれたので「何かあればご自由にお帰りください」と返事をして世界に飛び込むこととした。
小説はそれはとても満足できるものだった。
私の思い描いた展開と考えてもいなかった伏線が交じり予想もしない結末を迎えたことに驚きを感じたが、しかしそれが間違いなく一番良い終わりであると確信し、この休みに読めたことの喜びに胸が熱くなる。
目を閉じて場面を思い返せばしっかりとした充実感が私を満たした。
やはり小説は良い。
ゆっくり目を開いて自分の世界に戻りつつ時計を見ると、そろそろお昼の準備をはじめると良さそうな時間である。
オペラさんはすでに帰ったのかテーブルにカップと皿が無い。
私も動こうとカップに残る魔茶を飲み干し片付けようと立ち上がったと同時に、カチャリと音がして部屋のドアが開く。
帰ったと思われたオペラさんだった。