第33章 継子の理由・時透無一郎
無一郎が刀鍛冶の里で上弦の鬼と戦った。
は居ても立ってもいられず、蝶屋敷へと向かった。
「師範っ。」
「しーっ。静かにして下さい。」
「すみません。」
アオイに怒られ、は小さくなる。ベッドの横にある丸椅子に腰掛ける。顔にずいぶんテープが貼ってある。
「、、、師範のこんな姿、初めて見ました。」
無一郎だって怪我をすることもあるが、蝶屋敷に入院するようなことは、今までなかった。さすが柱である。
「師範、早く起きて下さいね。」
「、、、ねぇ、、起きて。」
はまだ重い瞼をこじ開けた。目の前に無一郎が座っている。
「師範っ。目が覚めたんですね。良かったです。今しのぶ様を呼んできますね。」
は丸椅子から立ち上がった。そこで違和感に気づく。
「、、、師範、今私のこと呼びました?」
「うん。って呼んだけど?はでしょ?」
の目から涙が溢れた。
「師範、記憶が、戻ったんですね。」
「うん。そばに居てくれてありがとう。」
その言葉にの目からさらに涙が溢れた。