第22章 掴めない・不死川実弥

「か？この前一緒だったぜ。」
宇髄がそんなことを言う。何か悩んでるのか、と声をかけられてのことを聞いたらそう返ってきた。
「あいつ気づくといねぇんだが、お前と一緒の時もそうか？」
「気づくといない、なんてことないぞ。隠の手伝いしてる時もあるし。わりと最後までその場にいるぜ？」
実弥は溜息をついた。やっぱり自分は避けられてるようだ。
「溜息なんかついてどうした？
ははぁ、お前、に避けられて傷ついてんな？」
宇髄は実弥の肩に腕を回すと、揶揄うように言った。
「気づいたらいない、って帰りの声もかけてもらえないのか。実弥くん、可哀想に。」
「うるせぇよ。」
実弥が宇髄の腕を避けさせる。
「気になる子に声もかけてもらえないなんて、哀れだねぇ。」
宇髄の言葉が図星すぎて、実弥の顔が赤くなる。
「誰もそんなこと言ってねぇだろ。」
「顔が赤いよ、実弥ちゃん。」
「うるせぇ。どっか行け。」
「、可愛い顔してるよな。」
「、、、宇髄。」
「はいはい。」
ばっ、と消えるように宇髄はいなくなった。
実弥は大きく溜息をついた。