第14章 抱きしめて・悲鳴嶼行冥

「師範。就寝の挨拶に伺いました。」
「あぁ、か。」
はいつものように静かに襖を開ける。部屋の中にいる悲鳴嶼を見れば、胸が、キュンとなった。そろそろこの気持ちを隠すのは限界のようだ。
「師範。」
「、、、どうした？」
「聞いて頂きたいことがございます。」
は手を着き、頭を下げた。
「師範。お慕い申しております。」
二人の間に沈黙が訪れる。
少しの間の後、悲鳴嶼の小さなため息が聞こえ、は泣きたくなった。
「、頭を上げなさい。」
はのろのろと頭を上げた。しかし悲鳴嶼の顔は見られず、俯いたままだった。
「、、、君は勘違いをしている。」
「勘違い、ですか？」
「私が君の近くにいるからそのように感じるだけだ。君は本当の意味で私を好いているわけではない。」
「そんなっ、、、」
の目から涙が溢れる。
「、、、お願いします。そんな言い方、しないでください。私は師範のこと、一人の男性として好いております。その気持ちを否定しないでください。」