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【オメガバース夢小説】闇の中の光の波紋【HQ/影山飛雄】

第10章 2話 箱庭へ


 ‪α‬相手にあそこまで出来るなんて、岩泉さんはβなのに凄い人なのかもしれない。
 そんな事を考えていると、天童さんが教えてくれた。

「今はじめ君にちょっかい出してるのがリンクスの副会長の及川徹君。二人は幼馴染でベータ性で学校分かれるまでは、一緒に遊んでたらしいよぉ」

 あちらこちらで騒ぐ様に話す学生会のメンバーを改めてぐるりと見回した。
 制服を見ればレヒツとリンクスが入り乱っているのは一目瞭然なのだが、確かに岩泉さんが言った通りであった。


 子供なのもあるかもしれないが、この空間にベータ性のわだかまりは感じなかった。


 レヒツの校舎、生徒達と変わらない交流をしている雰囲気。気を抜いたら‪α‬が居る、と言う事を忘れてしまいそうな程、穏やかであった。

「サム、元気にしとったかー?」
「ツム、元気に決まっとるやろ」

 パタパタと手を振りながら近寄ってくる人を見た。
 ツーブロックを金髪に染めている、治さんと瓜二つの容姿。すぐにこの人が治さんの双子の片割れである事が分かった。

「その子達がレヒツの新メンバーやな?俺、サムの双子の兄貴の侑ちゅーねん。仲良うしてなぁ」

 軽い感じに言われ、国見と一緒に頭を下げる。ワンテンポ遅れて、谷地さんもだ。

「いやぁ〜、めっちゃ体格のええΩやないか。最近はやっぱりベータ性って余り関係ないわな」
「そりゃ俺らみたいに一卵性双生児で‪α‬とΩが出るくらいや。ベータ性なんか最早出産以外余り関係ないやろ」

 さらりと言われたが、やっぱりΩは産む存在だとΩである治さんすら思っているのだと、気が沈んでしまう。
 Ωは子を成す為だけに存在する気がして。

「まーでも最近はΩやらかって理由だけで出産せん男も増えとるし、その辺りは本当に当人達次第なんやろなぁ〜。俺、サムが妊夫になったら絶対に笑う自信しかないわ」
「ほっとけーや」

 兄弟としての掛け合いなのだろう。治さんが嫌がっている感じは全くない。
 改めてバース性に拘り、Ωに囚われているのが俺だけなのだと認識させられた。バース性を理由に他人を拒絶しているのはお前だけなんだぞ、と言われているかの様だった。

(俺は……やっぱり古い考えの持ち主なのか……)

 運命の番が存在すると言われる‪α‬とΩの関係で、俺の運命の番が同性だったらどうすればいいのだろう。
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