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【オメガバース夢小説】闇の中の光の波紋【HQ/影山飛雄】

第10章 2話 箱庭へ


「ホントそれそれ!こんな良い空間二十四時間自由に使って良いとか、学生会様々だよねぇ〜。俺はβだから抑制剤ないし、薬無しだからついつい入り浸っちゃうんだよねぇ〜」

 治さんの肩から離れると、ヒラヒラと手を振りながらに言われた。

「俺、天童覚ね〜。これでも一応議長だけど、気軽に絡んでくれて良いから〜」

 口調や行動からも、明るく人見知り等をしないタイプなのだと伺えた。
 深く関わりたくないとは思いつつも、無視は出来ないので取り敢えず頭を下げておいた。

「それにしても『噂』。ホントなのか楽しみだよねぇ〜」

 ケラケラと笑う天童さんに首を傾げていると、にぃっと笑いながらに言われた。

「見れるなら見てみたいって思わない?『偉人』」





 木々の中を進んでいくと、大きめなプレハブの様な建物が見えてきた。恐らくあそこが会議室なのだろう。
 つまり、あの建物の中には……。

(‪α‬が……居る)

 無意識に緊張から手汗が出てくるのが分かる。気にするな、と言ってもやはり向こうは優れたバース性の集団。
 緊張するなと言うのが無理な話なのだ。谷地さんは兎も角、国見の表情も何処か固く見えた。

「んな気ぃ張るなって。‪α‬言った所で、俺達と同じ学生で子供なんだからよ」

 岩泉さんの気遣いの言葉も俺達には効果が薄く、こればかりは仕方ない事なのだと分かってくれてもいるみたいだった。
 困った様な顔付きでドアを開き、中へと入った。


 広々とした白い空間。
 堅苦しいテーブルや椅子が置かれている訳ではなく、大きいビーズクッションにサイドテーブルが置かれていた。
 ホワイトボードはそんなに使われていないのか、白くて汚れも見当たらない。


「模様替えする、って聞いてたけど、またガラリと変わったべな……」

 室内を見回しながら言う声に答える様に、突如返事が返ってきたのだった。

「そりゃあこっちの超お嬢様のご趣味でねぇ」

 やれやれ、と言った様子で歩いてくる一人の生徒。その制服を見て、リンクスの奴である事がすぐに分かった。
 初めて見る同年代の‪α‬に緊張が走った。

「黒尾。これそっちの趣味べか?」
「そーそー、聞いてよ菅原くーん。ワガママ四年生が一人いてさぁ……」

 黒尾、と呼ばれた相手の話を聞く菅原さんの方を黙って見ていると天童さんが口を開いた。
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