【オメガバース夢小説】闇の中の光の波紋【HQ/影山飛雄】
第9章 1話 理不尽なこの世界
国見の冷淡過ぎる行動に引いてしまったが、クラスメイトである以上谷地さんの事は国見の方が知っているのだから口を挟めない。
それよりも余りにも冷静に行動している国見に呆気に取られてしまっていた。
Ωである事を受け入れきっているとここまで出来るのか、と。
「失礼します。本日付けで学生会のメンバーになった四年三名です」
「……失礼します」
「ししし失礼しゃす!」
国見の後に続き中へ入って行ったが、後ろから入ってくる谷地さんの緊張しきった様子に何故か落ち着いてしまい、少しだけ気が楽になった。
誰かに何かあると自分は落ち着いてしまう、とは本当の様だ。
(……まぁ…………助かった、と思えばいいのか?)
国見程ではないが無駄に冷静になってしまい、部屋の奥を見れば学生会のメンバーである先輩達が揃っていた。
「昼休みにわざわざ悪かったな。ちゃんと飯食ってきてるか?」
「食べてなければお菓子ならあるよ~ん」
「天童さん、それはお昼ではないので止めて下さい」
「そもそもなんで此処にお菓子が置いてあるんだ?」
「なんかちょこちょこ学生室でお菓子見ると思ったら天童が置いてたのか……」
「えー、俺だけじゃないし。孤爪もたま~にだけど置いてるし」
「…………巻き込まないで欲しい……」
「まぁ事実やから仕方ないやろ?」
ワイワイ次から次へと話が飛び、俺達の入る隙が一切なかった。どう返答すればいいのかと三人で視線を送りあっていると、谷地さんの姿を見て一人が食いついてきた。
「おーおーほんまに女の子来たやんけ!見た通り女子なしのむさっ苦しい集まりだったから華が出来て良かったわ~」
「ヒィ!女子ですみませんです !! 」
何故か土下座を始める谷地さんに皆慌て出す。
「治!怖がらせるな!」
「えぇー、普通に声掛けただけやんか!」
「お菓子あげるから元気ださないー?」
「彼女、こう言うタイプだから気にしなくて大丈夫ですから」
「どう言うタイプだべよ、それ」
ワーワー盛り上がる空気の中、俺だけ一歩引いた状態で輪の中に入る事は無かった。
俺が居るだけ場違いだし、馴れ合える気もつもりも無い。
目立たつ、静かに居るのが俺の願いだ。