【オメガバース夢小説】闇の中の光の波紋【HQ/影山飛雄】
第9章 1話 理不尽なこの世界
声に反応をして顔を上げるとそこには同じΩである国見が呆れ顔で立っていた。
「国見?急に何の用だよ?」
俺の一言に国見はこれ以上ない位に大きな溜息を付く。その様子にイラっとしていると、国見ははっきりと俺に向かって言った。
「影山だ、って言われた時に予想出来てたけど。どうせいつもみたいに馬鹿みたいにぼーっとしてたんでしょ」
「誰が馬鹿だ!誰が!」
ガタッと椅子を鳴らしながら立ち上がるととほぼ同時に、国見はプリントを一枚付きだしながら言う。
「影山飛雄君、オメデトウ。君は今日から学生会書記になったから」
「………………は?」
破ける勢いでプリントを奪い取り、食い入る様に見た。そこに書かれているのは今季から新しく学生会に入る事になった生徒の名前が記されている。
会計、谷内仁花。書記、影山飛雄、国見英。と。
「がっ学生会 !? 」
ガバっとプリントから顔を上げて国見を見る。国見はいつもと変わらぬやる気のない表情で、俺の事を見ている。
早くしろ、と言わんばかりの国見に俺は慌てて言った。
「おまっ…………学生会って何か分かってんのかよ !? 」
「分からない訳ないだろう?本当に馬鹿なの?」
抑揚のない声色で返され、俺は言葉が出なかった。
――学生会。
それは言葉のままで学生の会。生徒の代表だ。
それだけならば何の問題もない、学生社会として当たり前の組織である。何が問題であるかと言えば、学生会は二校の繋がりを持つ事。
つまりドームで遮断されているαとΩが唯一接触する場であるのだ。
「レヒツ(こっち)の学生会のメンバーには必ずΩが入る事が義務付けられてるからね。影山のクラスにも何人かいたと思うけど……、どうせぼーっとしている間に押し付けられたんでしょ。ご愁傷様」
淡々と事実を突きつけられ、そう言えば今朝HRが少し長く、話し合いをしていた事を思い出した。その時も空が青いとかぼーっと考えていた。
が、「押し付け合い」になる様な討論をしていたら流石に騒がしくて気が付く筈だ。それが全くなかったと言う事は、淡々とした流れで、『話を聞いていなかった自分』に白羽の矢が立ったとしか考えられない。
「…………マジかよ……」
自分の迂闊さに頭を抱えたかった。