【夢小説】オタク+オタク=? 番外編【影山飛雄/R18】
第15章 オタップルの大人への階段登り
烏野高校卒業式の日、高校生の間は禁止されていたキスを遂にする事が出来た。
互いの第二ボタンを交換して、初めて触れた唇は柔らかくて、何度でも飽きずに影山はしていたかった。
宮城を離れて東京へ引っ越すまでの残された時間。堂々と恋人だから出来る事を三年間我慢した分、したいと思うのは当然であった。
オタップルの大人への階段登り
「元々物が多くなった飛雄たんの部屋だから、段ボールの数少ないし、見た目変わんない〜」
殆ど荷造りが終わってしまっている影山の部屋に、朔夜は気分転換を兼ねて遊びに来ていた。
影山の希望するVリーグのチームへの就職。
本来ならば朔夜は出来ないのだが、先に入団していた牛島からの推薦で『特別』に朔夜も就職が決まっていた。
本当は朔夜も目指したい道があるのではないのかと不安ではあったが、朔夜は差程気にせず即答で着いて行くと言った。
通訳の仕事を入りながらに覚えて、マネージャーに近い雑務も執り行う事になっている。
好きだから連れて行きたい。片時も離れたくない。ガキかと言いたくなる様な独占欲の願望。
叶うか不安だったが、牛島のおかげで叶い安堵したし、感謝もしている。
東京に行っても朔夜は常に傍に居てくれる。幸せの一言である。
「とーきょーとーきょー!」
影山のベッドに腰掛けながら、朔夜は上機嫌そうに言っていた。
オタクの朔夜にとって東京、と言うのは魅力の塊らしい。それも朔夜が着いて行く、と言ってくれた理由になる。
そんな色々な幸運が重なり、卒業しても変わらず付き合っていける環境が続く。
そして、高校生でなくなった事によって、縛られ続けていたルールから解放されたのだ。
「…………」
楽しそうに話している朔夜の唇を、ジーッと影山は見ていた。
ぷるんとした血色の良い赤い唇。触れたくて、重ね合いたくて仕方なかった。
「……さく」
「う?」
呼ばれて顔を上げた朔夜の顎を掴んで上を向かせる。きっと自分の顔は熱の篭った目をしているのだろう、と影山はぼんやりと考えていた。
流石にもうキス未経験ではないのだから、影山が何をしようとしているのか、朔夜も分かる。
駄目だと逃げるのが良いのか、影山の想いに応えるべきなのかと悩んでいる間に、唇と唇は重なってしまった。